kazasiki's blog

プログラミングとかVRゲームとか

貴女の魂が未だ此処にあるうちに【cuphead】

「あ、死んだ。」

私たちはまた唐突に死を迎えた。私と彼女は休日に『Cuphead』をプレイしていた。

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このゲームはいわゆる2Dのアクションゲームであるが、画面が横や縦にスクロールせず、基本的に1ステージは1つの固定された画面で展開される、ボス戦のみのゲームである。その所為もあってとても難しい。

「また死んだ!」

と彼女は叫んだ。

このゲームはキャラクターが死んでから魂が天に召される(画面の上の方にフェードアウトする)までの間に、味方から魂を触ってもらうと生き返ることができる。なので、「死んだ」と宣言することは「助けて」とお願いすることと同義になる。 魂は天に向かっていくので、上の方で死ぬと助けてもらえる猶予時間が短くなる。また、味方に触ってもらう都合上、離れたところで死ぬと助けられなかったりする。そういった時は

「死んだ!助からない!」

と言う事になる。もしくは生きてる方が

「無理(助けられない)!ごめん!」

と言うことも多い。

味方を助けられなかった場合は、以降の戦いを1人で行う事になり、勝てる見込みが薄くなる。敵にはHPがあり、こちらの攻撃によって少しづつ減るので、手数が多いことはシンプルに火力につながる。また、ボスは相殺可能な攻撃をしてくることが多く、片方が相殺に専念しつつ、もう片方が攻撃に専念するなどのプレイングもある。

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味方の失敗の予知とその対処こそがこのゲームの本質

ずっと2人で同じボスと戦っていると、ふと気付くことがある。彼女には当たりやすい攻撃とそうでない攻撃があるということだ。ということは即ち、ボスの行動パターンを把握するのと同時に、彼女の行動パターンも把握できてくるということである。いや、この場合は死亡パターンといったほうが正しい。死亡パターンが把握できてくると、彼女の死を予知できるようになる。不思議な表現だが「死ぬ前に助けに行く」ことが可能になる。彼女の生存率が上がれば、ゲームを有利に進められる。味方の失敗の予知とその対処こそがこのゲームの本質であると私は思う。

私達は何度も死に、その度に「死んだ」と「ありがとう」を繰り返した。

このゲームを1人でやる場合、プレイヤーが行うのは回避と射撃のみである。射撃は基本的にひたすら連射してるので、もっと言えば回避だけしてれば良いゲームでもある。だが、2人でやっていると話は別である。彼女の死は、私に助けるか助けないかの選択肢を生む。助けに行くには、ボスの攻撃を避ける以外の行動をすることになり、被弾のリスクを上げる。仲良く一緒に死ぬ、いわゆる「仲よ死」となる可能性もある。その中で一瞬で助けることを選択し、巧みな操作で猛攻をかいくぐり、実際に彼女を助けられればさぞ格好よかろうというものである。実際、こういったシーンは数多くあった。私達は何度も死に、その度に「死んだ」と「ありがとう」を繰り返した。

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長い戦いの末、私と彼女は遂に悪魔を打ち滅ぼし、インク壺島に安息を取り戻した。
皆から英雄として讃えられ、私たちは清々しい気持ちで紅茶で一服しながら感想を言いあった。

私は愛らしい卵のキャラが描かれたカップを使い、彼女は艶かしい唇が縁に掘られたカップを使った。私達はそれぞれ違うお気に入りのカップがあるのだ。

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