kazasiki's blog

プログラミングとかVRゲームとか

VRボクシングゲーム『Knockout League』レビュー

Knockout Leagueを簡単に説明するとボクシング風アクションゲームになります。VRゲームでは、他にもボクシングシミュレータと呼ばれるたぐいのゲームがいくつかありますが、このゲームはそれらとは一線を画しており、全く違うゲームです。

Steamのゲームレビューを見るとその部分が少なからず賛否両論を生んでいます。なので、この記事ではその部分を補足しつつ、このゲームの独自性について触れます。

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このゲームの基本的な操作は「避ける」と「殴る」の2つだけです。ボクシングの試合部分の流れとしては、相手が攻撃してくるのを避けると攻撃する隙が生まれるので、そのタイミングに攻撃する、という感じです。お気付きでしょうか?いわゆる古典的なアクションゲームの作りです。

逆に言えば、ボクシングシミュレータとしては破綻しています。こちらから攻撃を仕掛けてもそれが通ることは殆どありません。こちらが攻撃できるタイミングは相手の攻撃を避けた後だけです。こんなことは通常のボクシングでは考えられません。ただ、古典的なアクションゲームの楽しさは確かにあるので、好みの分かれるところというか、何を期待してゲームを買ったかによって評価が分かれるところかなと思います。

このゲームを特徴づけている別の要素に、魅力的でかつポップなキャラクターにあります。

対戦相手も最初こそ強面なボクサーですが、タコ、マッドサイエンティスト、海賊の船長などなんでもありです。果てには、アイアン・メイデンだって出てきます。どう考えてもまともなボクシングの試合になるはずがありません。

各キャラクターの攻撃モーションもかなり作り込まれており、キャラクタの特徴をよく表現しています。いわゆる漫画的表現で、拳に火がついたり、竜巻が起きたりします。VRならではの迫力もあり、それだけで十分楽しめる作品です。


逆に、うまく行ってないところはなんと言っても攻撃判定や回避判定の曖昧さです。例えば、2Dのアクションゲームであれば、相手の攻撃や自機の当たり判定はかなり明確にわかります。なぜなら、自分が操作してるキャラクターも、相手の攻撃も全貌が画面上に収まってるからです。

逆に、VRで主観視点の場合を考えてみてください。自分の顔面に向かってる拳の正確な軌道を目で追える人がどれほどいるでしょうか?さらに言えば、自分の体(正確には顔)がちゃんと避けれてるのかを確証をもって判断できる人はとても少ないと思います。

実際、このゲームをプレイしていると、そもそも相手の攻撃が一見してどこに向かってきてるのかわからない、ということがとても多いです。どこに向かってるのかわからないので避け方もわかりません。さらに言えば、自分の回避についてもどのくらい避ければ回避したことになるのか分かりにくいです。避けてるつもりが避けれてないこともたくさんあります。なので、とてもオーバーに避ける動作をする羽目になります。めっちゃ疲れます。

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避けている様子
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攻撃している様子

まとめると、いわゆるボクシングシミュレータ的な作品とは異なりますが、別の魅力を持ったボクシングゲームです。ただ、VR(とくに主観視点)に古典的なアクションゲームのメカニクスを詰め込んだが故に生まれたフラストレーションもあり、UI的にはまだまだ改善の必要性を感じる作品でした。

汗だくになるくらい運動になるので、運動したい人は是非。休憩を挟みながらプレイすることをオススメします。


以下、蛇足

この記事では割愛しましたが、このゲームにはガードという動作もありますし、タイミングよく行えばジャストガードにもなりますが、ちょっと複雑な仕組みなので説明を省略しました。実際にプレイされる方はご注意ください。(ボクシングでジャストガードってなんだよ、おかしいだろ!という気持ちもあります)

このゲームはファミコンの「パンチアウト!!」にインスパイアされたゲームだと言われていますが、寡聞にして私はそのゲームをプレイしたことがありません。